新規取引先の契約書において注意すること

新規取引先の契約書は確認が必須

どの企業にとっても、新たな取引先との契約は嬉しい出来事です。しかし、相手が提示した契約書を十分に確認せずに、すぐに署名・捺印をするのは非常にリスクが高い行為です。契約後に「思っていたのと違った」と後悔するケースは少なくありません。

新規取引先と契約を結ぶ際には、既存の取引先と同様に、契約書の内容を一語一句細心の注意を払って確認することが不可欠です。特に新規取引先は、過去に取引がないため、どのようなリスクが潜んでいるのか予測が難しいものです。

さらに、新規取引先が契約書にどれだけ重きを置いているのか、その「傾向」も分かりません。例えば、契約書の内容に多少のズレがあった場合でも柔軟に対応する企業もあれば、そうでない企業もあります。既存の取引先であれば、こうした傾向をある程度理解していますが、新規取引先ではその見極めができません。

したがって、新規取引先との契約締結時には、後々のトラブルを防ぐためにも、特に慎重に対応する必要があります。

では、新規取引先と契約を結ぶ際に、最低限どの点に注意すべきなのでしょうか?

 

1.取引する商品・サービスについて

取引に関連する商品やサービスの内容、範囲が明確に定義されているかを確認することが大切です。

商品に関しては、特定できる情報(商品の名称、番号、記号、品質、数量、仕様など)がきちんと記載されているかを確認しましょう。

もし記載内容が多くなりすぎる場合でも、省略せずに「別紙」などで詳細を付け加えるように心掛けましょう。

 

2.代金、委託料、契約料の支払いや、実費の負担について

金銭の支払いに関する事項は、明確に決めておく必要があります。

支払いの期限、方法、振込手数料の負担者などについては、誰が見ても理解できるように記載しておきましょう。

さらに、送料やその他の実費など、取引の主要な金銭の流れ以外に発生する費用についても、誰が負担するのかを明確にしておくことが重要です。

 

3.契約期間と更新について

契約期間に関する事項も非常に重要です。

契約の開始日と満了日が明確に記載されているかを確認しましょう。

また、契約期間が満了した後に更新する場合の手続きについても確認が必要です。

契約更新が予定されている場合には、たとえば「契約期間満了の2ヶ月前までに、いずれか一方から解約の申し入れがない場合、本契約はさらに1年間同一条件で継続する。期間満了ごとにこの規定が適用される」といった自動更新の条項があります。このような規定が自社にとって適切かどうかも慎重に検討する必要があります。

 

4.契約解除や損害賠償の規定

契約終了時やその後に生じる可能性があるリスクへの対応についての規定は、事前にしっかりと確認しておく必要があります。

具体的には、契約解除や損害賠償に関する条項が該当します。

リスク対応の規定は、「契約を解除する側」と「解除される側」といった双方の立場が対立しやすい事項を含むため、できるだけ詳細に記載しておくことが重要です。この部分が曖昧だと、双方の主張が対立してトラブルの原因となることもあるため、注意が必要です。

また、契約期間中に契約を解除したい場合、具体的な解除手続きについても確認しておく必要があります。

損害賠償に関する規定は、リスク回避の観点からも非常に重要です。この規定は、損害賠償を請求するためだけのものではなく、双方がリスクを回避するためのものです。

さらに、「合意の上で決定する」という表現はよく見られますが、片方が合意しない場合には決定に至らないため、実質的な意味を持たないことがあります。不適切な記載があると、リスクヘッジの目的が果たせなくなるため注意が必要です。

以上の4点については契約締結前に最低限契約書を確認することが求められます。

 

 

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