公正証書作成の嘱託について
公正証書作成の嘱託とは、特定の文書(契約書や遺言書など)を、公証人に正式に証明してもらう手続きのことを指します。
公正証書は、その内容が法的に強力な証拠力を持つため、特に重要な契約や遺言において用いられます。
公正証書を作成するために、当事者が公証人に対して行う依頼が「嘱託」と呼ばれます。
公正証書とは
公正証書とは、公証人が作成した公式な文書で、特定の契約や事実を証明するために使われます。
公正証書には法的効力があり、証拠力が強い点が特徴です。
例えば、遺言書、公正証書による契約、金銭貸借契約書などが公正証書で作成されることがあります。
公正証書は、公証人によって作成され、本人の意思に基づいて内容が正確であることが確認されたものです。
このため、公正証書には高い証拠力があり、訴訟においても強力な証拠として利用できます。
公正証書作成の嘱託の流れ
公正証書を作成するためには、公証人に嘱託(依頼)を行う必要があります。公正証書作成の手順は以下の通りです。
(1) 事前準備
公正証書を作成するには、以下のような準備が必要です。
- 作成する内容の決定
公正証書で作成する文書の内容を決めます。
例えば、金銭貸借契約や遺言書の場合、その内容(借りる金額や利子、返済方法、相続方法など)を事前に決めます。 - 必要書類の準備
公正証書を作成するために必要な書類を準備します。
例えば、契約内容に関連する書類(身分証明書、契約書の草案、証人など)です。
(2) 公証人への嘱託
公正証書を作成するために、公証人に対して「嘱託」を行います。
嘱託とは、公証人に対して公正証書を作成するように依頼することです。嘱託を行う場所は、公証役場(公証人の事務所)です。
- 嘱託内容の確認
公証人は依頼を受けた内容を確認し、必要に応じて文書の内容や法的効力に関する助言を行います。 - 必要な手数料の支払い
公正証書の作成には手数料がかかります。手数料の額は文書の種類や内容によって異なります。公証役場で金額を確認し、支払いを行います。
(3) 公証人による公正証書の作成
公証人は依頼内容に基づいて、公正証書を作成します。
この際、公証人は法律に基づいて内容を確認し、法的効力があることを保証します。公証人は、文書を正式なものとするために署名し、証明します。
- 証人の立会い
公正証書を作成する際、証人が必要な場合もあります。証人は、公正証書の内容に異議がないことを確認するために立ち会います。 - 署名・押印
依頼者(契約者、遺言者など)と証人が署名・押印を行い、公正証書が完成します。
(4) 公正証書の受け取り
公正証書が作成されると、依頼者に対して公正証書が交付されます。公証人が作成した原本は、公証役場に保管されますが、依頼者もその写しを受け取ることができます。
公正証書作成のメリット
公正証書を作成することには、以下のようなメリットがあります。
(1) 法的効力の強さ
公正証書には法的効力があり、内容に対して強い証拠力があります。特に、裁判での証拠として使用される場合、その信頼性は非常に高いとされています。
(2) 証拠力が高い
公正証書は公証人が作成したものであり、法的に正確な内容であると見なされます。そのため、契約内容に争いが生じた場合でも、その内容を証拠として提出することができます。
(3) 内容の明確化
公証人が関与するため、契約書や遺言書の内容が法的に正当であるか、整合性が取れているかを確認できます。誤解や後々のトラブルを避けることができます。
(4) 遺言書の法的効力
遺言書を公正証書で作成する場合、家庭裁判所での検認手続きが不要になります。また、相続人が遺言内容に異議を唱えることが難しくなります。
公正証書作成の嘱託の注意点
- 公証人への事前相談
公証人は法的助言を提供することがありますが、事前に専門家と相談し、内容が適切であるか確認しておくことが重要です。 - 嘱託の内容に対する確認
嘱託を行う際、依頼者は内容に誤りがないかしっかりと確認し、公証人に依頼するようにしましょう。
まとめ
公正証書作成の嘱託は、契約書や遺言書を法的に有効な形で作成するために、公証人に依頼する手続きです。
この手続きにより、文書の内容が確定し、証拠力が高まります。特に重要な契約や相続に関する書類を作成する際に利用されることが多いです。
公正証書作成の嘱託を代理人に依頼する
公正証書作成は、債権者・債務者といった契約当事者が自ら公証役場に行って作成する方法以外に、公正証書作成の嘱託を代理人に依頼することもできます。
この場合、本人(個人・法人問いません)から代理人(個人・法人問いません)へ、本人の実印を押印した委任状を交付することによって、代理人が公証役場にて公正証書の作成を行うことができます。
委任状には、公正証書に記載する条項と同じ内容の委任事項が記載されていることが必要になります。
実務的には、委任事項を記載した別紙(契約書写し)を委任状に添付し契印します。
委任事項等を定めない白地委任状は、委任事項が不明確であり、代理人による権限外行為がなされる恐れがあるため、認められません。
さらには、強制執行を認諾する条項を記載した公正証書を作成するには、委任状にその旨を明記する必要があります。
(参考)債権者が代理人を立てる場合の委任状の例
委任状(債務弁済契約公正証書)
(代理人)
現住所 ○○○○
氏名 ○○○○
上記の者を代理人と定め、次の権限を委任します。
1 別紙合意事項に基づき、強制執行認諾条項付きの公正証書の作成を嘱託する件
2 執行分付与の申立、特別送達(交付送達)申立、送達証明書申請及び受領の件
3 上記に関する一切の事項
○○○○年○月○日
(委任者)
・(個人の場合)
住所 ○○○○
職業 ○○○○
氏名 ○○○○実印
・(法人の場合)
所在地(本店) ○○○○
商号 ○○○○
代表者氏名 ○○○○実印
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