パートナーシップ制度と合わせて用意しておきたい書類

パートナーシップ制度と合わせて用意しておきたい書類

パートナーシップ制度には法的拘束力がない為、結婚のような権利義務が当然の様には発生しません。したがってパートナーシップ制度を利用すると同時にお互いの約束事を明文化しておくことが重要です。

今回は「財産・相続・医療・その他誓約書」の観点から用意しておきたい文書を紹介します。

 

財産に関する契約書

パートナーシップ制度には法的拘束力がないため、財産に関する取り決めを明文化しておくことは極めて重要です。

  • 財産分与契約書:
    同棲や共同生活中に築いた財産は、法的に「共有」と見なされるわけではありません。財産分与契約書を作成することで、誰が何を所有しているのかを明確化できます。また、破局時における財産の取り分を明確にしておくことで、分割をめぐる争いを回避できます。
  • 家計負担契約書:
    生活費や家計の負担割合を事前に取り決めることで、お金の管理が明確になり、経済的公平を図ります。
  • 借用書:
    金銭の貸し借りがある場合、その条件や返済計画を記載します。パートナー間で金銭の貸し借りが発生することは少なくありませんが、書面にすることで、金銭トラブルによる信頼関係の悪化を防ぎます。

 

相続に関する書類

日本では、法的に結婚していないカップルは、相続において法定相続人として認められません。そのため、相続に関する書類を整備することで、万が一の時にお互いの財産を確実に引き継ぐことができます。

  • 遺言書:
    パートナーシップ制度には法的相続権がないため、パートナーが亡くなった場合、法定相続人でない限り、遺産を相続することができません。遺言書を作成することで、法的に財産をパートナーに遺贈することができます。特に公証役場で作成する公正証書遺言は、内容が法的に確実であり、後から変更や無効にされるリスクを減らすことができます。
  • 任意後見契約書:
    パートナーシップ制度においてパートナーが認知症やその他の理由で判断能力が低下した場合、後見人として指名される権利が法的に保障されていません。任意後見契約書を作成することで、医療や介護に関する重要な意思決定をパートナーが行えるよう、契約書を通じて事前に意思表示を行うことができます。

 

医療・生活に関する契約書

パートナーシップ制度だけでは医療や生活の場において何もできない場合があります。法的に認められていない権利を文書で明確にし、必要な権限を確保することができます。特に医療同意書は万が一の時に備えて用意しておきたい文書です。

  • 医療同意書:
    長期的な病気や意識不明の状態に陥った場合、パートナーがその人の意向に基づいて意思決定を行う権利を明文化することができます。万が一の時にパートナーが治療や手術の同意をすることができ、医療機関からの対応がスムーズになります。また、家族など他の親族と意見が食い違うことによるタイムロスを避けることができます。
  • 同居契約書:
    家計負担契約書が家計の取り決めに対し、同居契約書は住居の名義や賃貸契約に関する権利と義務を明文化するなど同居に関する取り決めをする目的があります。住居に関する契約書を準備しておくことで、パートナーが住居に対して法的に認められる権利を確保できます。
  • 生活維持契約書:
    同居中のルールや役割分担を文書化することで結婚と同等の責任をお互いが負うという目的があります。家庭内の役割分担はもちろんのこと、家庭外の人付き合いに関しても明確にすることで、お互いの信頼関係を築き、パートナーシップの安定性を高めるためにも重要です。

 

その他誓約書

誓約書とは一方が相手に対して約束をすることを明文化したもので、法律的に強制力を持つ場合もあり、後で約束が守られなかった場合の証拠として使用されることがあります。

  • 養育費支払い誓約書:
    子どもを育てる場合、一方が養育費を支払うことを記載します。誓約書により支払額や支払い期間が確定し、支払い義務を履行しない場合に法的な証拠として利用できます。また、子どもに対する経済的支援が確実に行われることを保証するため、養育費を巡る争いを回避できます。
  • 信頼関係維持誓約書:
    浮気や暴力など関係を壊す行為を行わないことを約束する書面。パートナーシップにおけるお互いの約束や期待を明確にし、将来的な誤解やトラブルを防ぐことにあります。特に、双方が守るべきルールや行動指針を文書化することで、関係が破綻しないようにし、信頼を保つための基盤を作ります。誓約書により、約束が履行されない場合の証拠にもなり、安心感を提供します。

 

書類作成時の注意点

  • 公正証書の利用:
    契約書や誓約書を作成するだけでも効果はありますが、公証役場で公正証書を作成することで、法的効力を強化することができます。
  • 専門家への相談:
    弁護士や行政書士に依頼することで、法的に内容が適切で漏れがないこと、また、将来的なトラブルを防ぐためのアドバイスを受けられます。各書類が適切に作成されることで、後々の紛争や誤解を最小限に抑えることができます。
  • 内容の更新:
    関係性や環境の変化に応じて定期的に文書を見直し、その時その場にあった内容に更新していく必要があります。

 

まとめ

パートナーシップ制度には法的拘束力がないため、契約書や誓約書を準備することで生活の安定やトラブル回避が期待されます。
適切な文書の整備により、パートナーシップの信頼性と安心感を高めることができます。

 

 

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